この道を行けば

モントリオールでの留学生活を気の向くままに・・・
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燈される雪道



雨が流してしまった雪道を、昨夜、また雪が覆った。
週末なのに静まり返るカルチェラタンを俺はゆっくりと歩いていた。
雪にまみれて、街が夜の帳につつまれるとき、そこに静寂が生まれることを肌で感じた。風があった。静かに吹いては去っていった。粉雪が足元を舞うとき、風の声を聞いた。泣いている、と思った。
何故だかはわからないけど、ふとそう思った。

家の暖炉では静かに音を立てて、炎が揺れていた。ソファに深く腰かけ、俺は壁に踊る影を見つめていた。暖炉の炎が途切れるとき、壁の影は倒れた。いつのまにか壁に揺らめく影が、ジムで殴られ蹴られる自分と重なっていった。そして、大きな恐怖がまた、俺を襲った。冷たい外気に包まれたくなった。食べかけていたリンゴを暖炉に投げこみ、俺は家を出たのだった。

風はそんな俺に、泣いていたのか。そう思ったとき、ふと辺りの景色を見回してみた。一日に何度も行きかう家の前のストリートで、俺は今年一番綺麗な世界を見た。寒さで震える手でなんとかきったシャッターの音は、辺りの静寂を確かに破った。いつのまにか、風が泣きやみ、雪は吹雪いていた。俺はもと来た道を引き返し、家路を辿った。
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